• TOP > 受検者の声
    1問目から面食らいました(笑)。初挑戦で見事2級に上位合格された杉田顕浩(あきひろ)さん。

    10月30日(日)に開催された「鯖サミットin若狭おばま」会場でお話を伺いました。


    ― 福井県嶺南振興局で水産漁港課に在籍ですね。受検動機は?
    地元、小浜が検定会場になることを知り、ととけん公式サイトをのぞいたところ、全国の魚食文化全般にわたる幅広い知識を問う内容で、これは面白そうだな、と。

    ―とくに勉強されました?
    ととけん副読本は過去問題も含め、一応目を通しました。
    ととけんでは、地方独特の郷土料理や魚食文化の知識、最新の情報などが問われるので、常に新聞・雑誌などでアンテナを張って、魚食にまつわる幅広い知識を得ておくことが必要だと痛感しました。

    ―どんなお仕事なんですか?
    小浜生まれの小浜育ちなんですが、大学は広島で水産業の勉強をし、帰ってきてから、現在は若狭地区の水産業普及指導員をやっています。仕事内容は一言でいうと、漁師さんに儲かるための情報や技術を指導することですが、言うは易く行うは難くですね。獲った魚の付加価値を高めるために、漁師さんに漁獲方法から、獲った魚の活絞め、血抜き、神経絞めといった、鮮度を保ち品質を高める技術指導や、販売するところまでですね。小浜では、定置網でブリ、サワラ、マダイ、スズキ、底曳網で若狭がれい(ヤナギムシガレイ)、アンコウ、ノドグロなどが揚がります。また、延縄では若狭ぐじ(アカアマダイ)や、地元名産の小鯛の笹漬けで有名なキダイ(レンコダイ)が揚がります。

    ―初めての2級の受検、印象に残った出題はありましたか?
    やぁ、のっけから面食らいました(笑)、1問目の明石の“タコサミット"ですか。タコの有名産地を問う出題です。それとQ59の岡山の川魚、ヒラメはアマゴですね。アユの問題も記憶に残っています。鵜飼漁が長良川以外に全国の河川で行われていること(Q13)、養殖アユの生産量日本一が“あゆち"愛知県だということ(Q19)、2つとも目からうろこでした。

    ―とはいえ、初挑戦で全国順位ヒトケタとはさすがというほかないですね。
    仕事柄もさることながら、普段から魚種の豊富な若狭の海で魚釣りを愉しみ、自分で料理していることも助けになったのでしょう。

    ―ところで今日は、小浜初の養殖サバのお披露目ですね。
    昔は若狭湾がマサバで盛り上がるように見えるほど大群が押し寄せてきていたんです。ピークの昭和35年には3,580トンもの水揚げがありました。昭和33年生まれですから最盛期は当然知らないんですが、それでも子どもの頃には港に山のようにサバが積まれていたのを憶えています。小浜から山積みされたサバ列車が発車していたんですよ。車や鉄道が無いそのまた昔は、漁村の女性が一塩(ひとしお)した鯖を天秤棒で担ぎ、京都までの十八里(およそ72km)を一昼夜かけて運んでいました。現在、この道は鯖街道といわれています。
    近年、年間わずか1トン程度の水揚げの小浜のサバを復活させようと、石川沖で捕獲したマサバを小浜市の田烏(たがらす)地区の海で、漁師さんが約半年かけて養殖しました。脂分を抑えた配合飼料(EP飼料)というんですが、これを使い育ててきました。この夏の酷暑の影響で、ここ小浜でも水温が31度に及ぶこともあり、魚が弱らないか心配していたんですが、県立大学や県栽培漁業センターなどの技術指導により、無事夏を越すことができました。
    この田烏という地区は、昭和初期のサバの巾着網(きんちゃくあみ)漁で栄え、今でもさばを使った「へしこ」や「なれずし」加工が行われるなど、ひときわサバへの愛着と思い入れが強い漁村なので、サバ養殖をするには最適の場所だと思います。

    ―ご苦労もあったんですね。水揚げ激減の原因はやはり乱獲だったんでしょうか?
    若狭湾に入ってきたサバを巾着網漁で大量に獲ってきたことによる乱獲もあるでしょうが、長い目で見ると魚種交代もあると思います。
    原因はよくわかりませんが、サバをはじめ、アジやマイワシ、カタクチイワシなどは一定のサイクルで豊漁と不漁がくりかえされているようです。

    ―最後に、これから挑戦しようとしている ととけん受検者にメッセージを。
    日本が誇る魚食文化をとくに若い人に知ってもらい、魚をもっと食べて、魚ファンになってもらいたいですね。